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2018-02-24

インド旅行記(2)インドの旅は一筋縄ではいかない?

リシケシ行きのバスに乗り込む

 

ボッたくりタクシー連中をかわして無事に空港を脱出?したオレは、早朝のバスでデリー市中に出ると、その足で長距離バスターミナルに向かった。

 

できるだけ早い時間帯のリシケシ行きのバスに乗り込もうという魂胆だった。

 

リシケシへは7時間かかる。

 

短い旅程の中、明日からヨガ修行を始めるためには、何としても今日中にリシケシに辿りつきたい。

 

しかし、これはインドの旅だ。

 

そもそも計画通りに行かないことも覚悟の上だ。

 

3度目のインド旅行で、そのへんのことは十分わかっていた。

 

しかし、一方でオレは

 

「今日中に絶対にリシケシまで行くのだ!」

 

という固い信念のようなものがあれば、もしかするとインド世界はオレになびいてくれるかも知れない…そんな淡い期待もあったのだ。 

 

オレはあらかじめガイドブックで得た情報に従って、デリーの大きな長距離バスターミナルにたどり着いた。

 

だが、事前の情報とは違い、ここからはリシケシ行きのバスは出ていなかった。

 

バス会社の係員らしき男によると、ここから路線バスで1時間のところにある別のバスターミナルに行かねばならないらしい。

 

オレは仕方なく、オンボロ路線バスに乗り込んで、1時間かけてもうひとつのバスターミナルまで移動した。

 

ここでも客引きの男に、リシケシまでの運賃を高くふっかけられ、ひと悶着あったが、何とか午前のリシケシ行きの便に乗り込むことができた。

 

「やったぜ、これで今日中にリシケシにたどり着くことができる…」

 

オレは心の中で、ひとりほくそ笑んだ。

 

走り始めて2時間、バスが路肩に停車した。

 

トイレ休憩らしい。

 

オレも他の乗客に混じって、バスの外へ出た。

 

まわりは一面の野原

 

トイレらしき建物はどこにもない。

 

すると乗客たち(すべて男)は、めいめい好きな方角を向いたかと思うと、大地に向かって勢いよく立ちションを始めた。

 

これがどうやらインドのトイレ休憩らしい。

 

もちろんオレもインド人のルールに従った。

 

バスは順調にリシケシに向けて走っていた。

 

この調子だと暗くなる前にはリシケシに到着できそうだ。

 

およそ3時間経ったころ、小さな食堂で30分ほど昼食休憩。

 

ハエの多さにまいる。

 

手でハエを追い払いながら、チャイとオムレツをかきこんだ。

  

非常事態発生!?

 

さらに1時間ほど走った。

 

路上をふさぐように立っていた警官が、突然バスを停めた。

 

警官はバスの運転手となにやら神妙な面持ちで会話をしている。

 

乗客達がザワザワし始めた。

 

「なんだ?なんだ?いったい何事だ?

 

バスは方向を転換して、来た道を少し戻ると別のルートを走り出した。

 

「ムムム?ドライバーが道を間違えたのか???」

 

また少し走ると、バスは方角を大きく変えた。

 

「あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、いったいどうなってるんだ?」 

 

それに先ほどからどうも雨足が激しくなってきてるし、道路のわきを流れている川がだんだん水量を増している。

 

オレは胸騒ぎがした。

 

水量を増した川は、またたく間に濁流に変わり、しまいには道路にあふれ始めた。

 

乗客に聞くと、あちこちで洪水が発生しているらしい

 

「オイオイまじかよ?大丈夫かよ?」

 

しかし、事態は、オレの想像をはるかに超えていた。

 

このとき、オレが向かおうとしているリシケシ周辺のウッタルプラデッシュ州では、観測史上まれにみる豪雨が続き、河川が氾濫、あちこちで大規模な洪水が発生していたのだ。 

 

 

オレの乗ったバスは、もはや川か道路か見分けがつかなくなった、濁流の上をあわや水没しそうになりながら走った。

 

オレは身の危険さえ感じた

 

「ヤバい!このままオレは洪水に流されて、行方不明になったあげくに、インドの大地の肥やしになってしまうのか、、、?」

 

しかし、シヴァ神の守護があったのか、辛うじてバスは洪水地帯を抜けることができた。

 

オレは予定より2時間遅れで、リシケシの手前にあるハルドワールという街に着いた。

 

乗客がゾロゾロ降り始めた。 

 

「このぶんではリシケシ到着は夜遅くなりそうだな…」

 

そうつぶやいた途端、運転手が「降りろ!」とオレをうながした。

 

「あれっ?リシケシまで行くんだけど…」

 

「ここが終点だ!」

 

オレは目の前が真っ暗になった。

 

なんとこのバスは、リシケシの手前の街、ハルドワール止まりだったのだ。

 

 

バスから降ろされると、外はかなりの雨。

 

オレは不覚にも雨具を持って来ず、たちまちずぶ濡れになってしまった。

 

あたりには次第に夕闇が迫ってきた。

 

ここで

 

「今日中に絶対リシケシまで行く!」

 

という、オレの固い?はずの信念とやらは、

 

ヘナヘナ~

ふにゃふにゃ~

 

と、もろくもしぼんでしまった。

 

 今夜は、この街に泊まろ。

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