画家、ボルネオ島へ行く(4)ブルネイからコタキナバルへのバス旅はまるでスタンプラリー
ブルネイは退屈?
ブルネイ名物、水上集落を散策した後は、首都バンダルスリブガワンの街中をぶらぶらした。
市場に行ったり、目抜き通りをウロウロしたり、ショッピングモールを冷やかしたり、、、
そんなふうに歩いていたら、突然のスコール。
猛烈な勢いで雨が降ってきたので、とりあえず近くのケンタッキーに駆け込んだ。
チキンピラフとペプシコーラで簡単な昼食。
ガラガラの店内で、ケンタッキー店員の緩慢な動きを眺めながらツラツラ考えた。
ブルネイというのは、東南アジアで一番のお金持ちの国らしい(一人当たりのGDPは日本より高い)が、町を歩いていても、どうも今ひとつ人々に活気が感じられないのは何でだろう?
これが他のアジアの都市の町角であれば、市場や商店街や路地のそこかしこに溢れているはずの、カオスや猥雑さや人々のダイナミックな営みが、どうもブルネイには欠けているような気がするのだ。
商店やショッピングモールは、東南アジアの他の諸国に比べると確かにサッパリしていてキレイだ。
だが、そこにいる店員にはどうもヤル気が感じられない。
インドやベトナムの街角で、これまでに何度も執拗な「買え!買え!」攻勢にさらされ、満身創痍で戦い抜いてきたこの身には、
「もしホントに欲しいんだったら~、買ってくれてもいいけど~、でもどっちでもいいよ~」
というような店員のテキトーな態度は、どうも肩すかしを食らったようで拍子抜けしてしまうのだ。
「おめ~ら、ホントに売る気があるのかい?」
オレは思わずブルネイ人にカツ!を入れたくなった。
もしかすると、ブルネイの人たちの生活はそれなりに豊かなので、あえてガツガツと働いて稼ぐ必要が無いのかも知れない。
オレは、そんなブルネイがあんまり面白くなくなったので、翌日、マレーシア領のコタキナバルへ戻ることにした。
スタンプラリーの旅
行きは船で来たので、帰りはバスだ。
ところで、このブルネイとコタキナバルを8時間かけて結ぶバス路線は、旅行者の間では「スタンプラリーの旅」と揶揄(やゆ)されている。
えっ?なんでスタンプラリーかって?
それは、この辺り、ブルネイとマレーシアの国境がめちゃくちゃ複雑に入り組んでいるので、合計4回も国境や州境を通らねばならず、そのたびにパスポートに出国やら入国のスタンプをペタペタ押されて、まるでスタンプラリーのようにスタンプがいっぱい貯まるからだ。
ちなみに、こんなカンジである。
ブルネイ出国(1個目ゲット)
→マレーシア入国(2個目ゲット)
→マレーシア出国(3個目ゲット)
→ブルネイ入国(4個目ゲット)
→ブルネイ出国(5個目ゲット)
→マレーシア(サラワク州)入国(6個目ゲット)
→マレーシア(サラワク州)出国(7個目ゲット)
→マレーシア(サバ州)入国(8個目ゲット!)
コレがホントのスタンプラリーだったら、8個のスタンプをコンプリートすれば、ご褒美に何かの景品が貰える。
、、、が、こちらのスタンプはいくら集めても、な~んにも貰えない。
それどころか、どんよりとした重い疲れが残るだけだ。
ちなみに国境越えと言うのは以下の繰り返しである。
バスが高速道路の料金所のようなゲート(ここが国境)の前で停まる。
乗客は全員降ろされて、出国管理の長~い列に並ぶ。
審査官がめんどくさそうにスタンプを押す。
無事出国審査を終えると、いったんバスに乗って国境の緩衝地帯を超える。
今度は、また別のゲートの前でバスが停まる。
また降ろされて、今度は入国審査の長~い列に並ぶ。
入国審査官がめんどくさそうに、入国スタンプを押す。
これを1日で4回も繰り返すのだ。
そりゃ8時間もかかるわけだ!
ところで、国境の緩衝地帯と言うのはある所は川であったり、ある所は峠であったりする。
日本は島国で海に囲まれているので、ふだん国境なんて意識することがない。
それだけに今日は、めったに体験することのない「国境越え」というものを、存分に、しかもウンザリするほど味わうという貴重な一日になった。
それにしても、あ~疲れた!