エジプト旅行記(1)ルクソール空港では悪質タクシーにご用心!!
2008年に、バックパッカーひとり旅でエジプトへ行った時のことを書こう。
カイロに夜中に到着したので、そのまま空港のベンチでウトウトしながら朝が来るのを待ち、早朝5時半のフライトでルクソールへ。
空から眺めるエジプトの砂漠は、すさまじく乾いて荒涼としていた。
行けども行けども黄土色の世界で、ただの一点の緑もない。
おまけに建物や道路はおろか生物の生存のカケラすらない・・・
「こんな所に突然置き去りにされたら確実に死ぬだろうなぁ~」(当然だ!)
「そうなったら、どうすりゃあサバイバルできるんだろう?・・・」(できるハズがない!)
そんな事をつらつらと考えていたら、眼下に突然、一筋の水の流れとその両岸を染める緑の細長いじゅうたんが現れた。
ナイル川だ!生命を育み、偉大なる文明の土壌となった母なるナイルだ!
感動したぜ。ナイルとの出会い。
待ち構えていたのは、悪質タクシードライバー
オレの乗った飛行機は無事ルクソール空港に到着した。
しかしオレを出迎えたのは、3000年の古代エジプト文明ではなく、善良なる外国人ツーリストに群がる悪質タクシードライバーの連中だった!
当時ルクソールの空港から市内へ向かう公共バスは無かった。
ということは、必然的に、空港の外で手ぐすね引いて待っている悪質タクシー連中との攻防に勝利しなければならないわけだ。
果たして、出発ゲートを出た私のもとに、「ヘイ、タクシー?」と声を掛ける連中が次々と現れた。
そういう連中は、どうせインチキ白タク野郎に違いない。
オレはそいつらを無視して、外のタクシー乗り場まで辿りつくと、一見合法的(・・・に見える)タクシーの一台に市内までの料金を聞いてみた。
「町までいくら?」
「100ポンド(約2000円)」
「何だとぉぉお~!、このガイドブックには20ポンド(約400円)って書いてあるんだぞぉぉお~!」
「ほんじゃ80ポンド(約1600円)!」
「ふざけるな!」
オレは、さっさと踝(くびす)を返して、他のドライバーに聞いてみた。
そしたら、どの連中も「80ポンド!」や「100ポンド!」と平然とのたもうではないかっ!
もうこれだけのやり取りで、オレはキレたね。
「ちきしょお~っ! この国のタクシードライバーは一人残らず抹殺してやる!」
、、、ってな物騒なことは、さすがに言わなかったが、オレはすっかりいじけてしまい、
「もう市内まで歩いていく・・・グスン」
と、タクシー連中に背を向けてトボトボと歩きはじめた。
しかし、わずか数十メートル歩いたところで、空港から市内まで7キロもあることに気がついた。
「やっぱ、やめよ」
実に軟弱なオレだった。
「この国のタクシーの適正価格は、この国の一般庶民に聞くのが一番だ」
そう思ったオレは、空港で掃除しているオジさんに、市内までのタクシー料金を聞いてみた。
すると「30ポンドぐらい(約600円)」と言うではないか。
やっぱそんなもんだろう。
「誰かオレを30ポンドで町まで連れて行ってくれぃ!」
そういうオレの悲痛な心の叫びを聞いたのか、ひとりの男が近づいてきて
「町まで25ポンド(約500円)で行ってやる」
と言うではないか。
「今から車を持ってくるから、ここで5分待て!」
そう言い残して、男は去っていった。
いささか怪しげではあるが、もしかするとこれは天がさしのべた救いの手かもしれない。オレはその男に身をゆだねることにした。
しばらくして男は、自分の車を運転して現れた。
何やら他のドライバーと大声でやり合っている様子。
どうやらドライバー連中の「みんなでつるんでツーリストからぼったくろう協定」をひとり無視したことに、他のドライバーたちが怒っているらしい。
オレは、ようやく正直者の善人ドライバーにめぐりあった幸運に感謝しながら、その男の車に乗り込んだ。
車は空港のゲートみたいなところでいったん停まった。
男は小さなチケットのようなものを受け取ると、オレの方を振り向いて言った。
「空港の入場料が25ポンド。タクシー代と合わせて50ポンド(約1000円)ね!」
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