toggle
2018-03-09

インド旅行記(8)今回の旅は2勝8敗?

デリーへ戻る
 
オレは、リシケシでのプチヨガ修行を終えて、インドの首都デリーへ戻ってきた。
 
(夜のデリーの喧騒)
 
ようやく下痢が回復し、少し食欲が出てきたので、トマトスープとベジタブルチョーメン(焼きそば)の夕食。

 

 

ずっと絶食していたので、実に三日ぶりの食事であった

 

 

危うくダマされる! 

 

翌日は、インドで過ごす最後の一日。

 

デリーのメインバザールを散歩することにした。

 

バザールの露店を冷やかしながらぶらぶら歩いていると、地面に敷いたゴザの上で、おばちゃんが小さな円筒形の包みをたくさん並べていた。

 

「コレはお香かな?」

 

と近づくと、おばちゃん、ヘナだと言う。

 

「おおっ!最近日本でも時々耳にするヘナか?」

「いったいどうやって使うのか?」

 

と聞くと、

 

「まぁまぁそこに座らんしゃい」

 

と、オレを腰掛けさせ、おばちゃんは、息子らしき男を呼んできた。

 

男はオレのTシャツの腕をまくると

 

「タダだ、心配するな

 

と言って、その円筒形の包みの底からヘナを絞り出して、オレの腕に模様を描き始めた。

 

どうやらヘナタトゥー(入れ墨)というやつらしい。

 

オレは少し心配になって、もう一度聞いた。

 

「ホントにタダか?」

 

「タダだ!」

 

男は実に巧みな技で、オレの腕に見る見るうちに精巧なハワイアンデザイン(…と男が言っていた)を描いていった。

 

くどいようだがもう一度聞いた。

 

「ホントにタダか?」

 

「もちろんタダだ!」

 

待つこと、およそ五分。

 

オレの腕には見事な幾何学模様のヘナタトゥーが出来上がっていた。

 

すると最後に、男は模様を指差しながら、こう言うではないか。

 

「ココからココまではタダだ。だが、ココから先は有料なので150ルピー払え

 

「オイオイ、話が違うぜ!タダって言ったじゃないか!」

 

オレは、少しオーバーに怒り、椅子から立ち上がるとそのまま立ち去った。

 

もちろん一ルピーたりとも支払うことなく、、、

 

「あぶない、あぶない。少し気を緩めるとこうだ。」

 

でもタダで腕にタトゥーが出来たので少しトクをした気分になった。

 

(ホテルに戻り、ヘナタトゥーをスマホで撮る)

 

今回の旅は2勝8敗?

 

「今のはオレの勝ち!」

 

、、、と、心の中で勝利に浸ったが、実は今回の旅全体を通してみれば、2勝8敗ぐらいでオレの完敗だったような気がする。

 

インドでは、三輪タクシーに乗るのも、土産物一つ買うのも一苦労。

 

先方は平気で途方もない値段をふっかけてくるので、こちら側も最初はその十分の 一ぐらいを主張する。

 

するとだんだんと相手がマケて来て、、、

 

途中、こちら側が交渉決裂にして立ち去ろうとすると「待て待て!」 と引き止められる「儀式」が間に入る。

 

最終的に、最初の値段の三分 の一か四分の一ぐらいで折り合いがつく。

 

それでもしたたかなイン ド商人の事だ、影でほくそ笑んでいるかも知れず、オレのカンジでは 、今回はせいぜい2勝8敗、むしろ完敗に近かったな、、、という気がするのだ。

 

50代の身体であえて挑んだインド旅。

 

計画通り旅を進めようとするオレに対してまず「想定外の大洪水」という、強烈な右ストレートが浴びせられた。

 

かろうじて立ち上がると、今度は「風邪と下痢」というダブルパンチ。

 

これでオレは、完膚なきまでに打ちのめされて、マットに深く沈んでしまった。

 

最後はちょっとだけ立ち直り、プチヨガ修行が出来たけど、、、

 

20代と30代で、かつて2回放浪した時とは違い、さすがに50 代でのインドは体力的にも相当キツイものがあった。

 

(デリーのメインバザールで、モモ(チベット風水餃子)とトマトスープの食事。)

 

50代には50代にふさわしい旅のスタイルがあるんじゃないの?」

 

「50代で、20代みたいなハードな旅をするなんて、遥か昔に過ぎ去った青春時代のノスタルジーにしがみつこうとしているだけじゃないの

 

そんな内なる声も聞こえてくる。

 

いったいオレは、いつまでバックパッカーをやり続けるのだろう

 

でも、これだけは言える。

 

インドの旅は、他のどこの国の旅とも違う、特別なもの。

 

物質文明に囲まれて生活するうちに、いつの間にか眠らせてしまった、自らの「野生」というものを、心身の奥からガツンと呼び覚ます、刺激的な旅なのだ。

(おしまい)

 

(シヴァの瞑想。旅の途上で描き始め、下痢と発熱で中断していた絵がようやく完成。シヴァ神の頭上には人の顔があって、口から水を吐き出してる。この水がガンジス河になるのだそうだ)

 

関連記事
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。