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2018-03-17

画家の八ヶ岳登山

 八ヶ岳の伝説
 
八ヶ岳の成り立ちには、こんな伝説がある。

 

八ヶ岳の男神と富士山の女神とが互いに、

 

オレの方が背が高い!」

 

「いいえ、アタイの方よ!

 

と、言い争うので、それを見かねた如来様が、

 

「そなら水裁判をするべぇ~

 

、、、と、両者の峰に樋を渡し、そこに水を流し込んだ。

 

はたして水は勢いよく富士山の方へ流れた。

 

するとそれにムカッ腹を立てた富士山が

 

「こんにゃろ!~」

 

と、棍棒でボコボコ!と八ヶ岳の頭をめった打ちにしたのだ。

 

これじゃあ裁判もへったくれもありゃしない。
 

哀れ八ヶ岳はデコボコの八つの峰に裂かれてしまった…という話だ

 

八つの峰とは? 

 

この伝説に語られる八つの峰とは一体どこをさすのか?
 

編笠山、西岳、権現岳、旭岳、赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳の八つというのが、ひとつの説である。

 

オレは一応この八つにゃあ全部登ったんだが、主峰赤岳やら硫黄岳やら編笠、権現などはともかくも、西岳や旭岳、、、となると、多くの人にとっては、はて一体どこだっけ?、、、という程度ではないだろうか?

 

特に旭岳なんぞやキレット小屋から権現へ行く途中で、気づいたら知らない間に通り過ぎてしまった、、、なんていうシロモノ。

 

どうも他の峰に比べるとイマイチ影が薄くて気の毒だ。
 

旭岳のかわりに峰の松目をあげる説もあるが、こちらにしても名前からしてどうも山らしくない。

 

まぁ、仕方がない。八人いて八人全部が主役級になれるはずがない

 

あの「七人の侍」でも、志村喬、三船敏郎、宮口精二、木村功そして千秋実ぐらいまでのキャラは、はっきり憶えているが後の2人となると、どんな顔だったか、いつ死んだんだかそれとも生き残ったんだか、、、どうにも思い出せない。

 

七人も八人もいれば二人や三人は脇役であっても仕方がないのだ。
 

あっ!山の話だっけ

 

 

初めての八ヶ岳登山 

 

オレが初めて本格的な山登りをしたのが八ヶ岳だ。

 

美濃戸口から入山し行者小屋でテントを張り、赤岳、横岳、硫黄岳と縦走し夏沢峠から本沢温泉へと下って、また一泊した。

 

この時オレ師と仰いでいる自称山男に誘われて行ったんだが、もう何十年も山をやっているらしいこの師は実にイイカゲン男で、この時何と自分の地図を持ってこなかったのである。

 

オレが慣れない山地図をにらみながら、

 

「こっちのルートの方がいいんじゃないでしょうか?…」

 

と聞くと、師はオレの持ってきた地図にはまったく目もくれないで
 

「おお、そっちにしよう!」

 

「あっ!待って下さい、やっぱ、こっちの方がいいですかねぇ、、、」

 

「おお、そっちの方がええなっ!」(やはり地図は見ていない)
 

と答えるのである。

 

おまけにメシの段になって、

 

「やべぇ!ハシ忘れた!」

 

と言って、そこいらの小枝を拾い始める始末。
 

「師!それが山登りの基本ですか!」

 

、オレは心の中で叫んだぜ。

 

それに、この師は体力の方もあんまりなかった。
 

「三歩下がって師の影を踏まず」という言葉があるが、三歩下がろうとしてもたちまち師を追い抜いてしまう。

 

結局、先にテント場に着いたオレがテントを設営し終わった頃になってようやくフーフーゼーゼー息を切らせながら到着するのである。

 

弟子の成長のためにゃあ、師の背中は山のように高くなきゃあダメだね。

 

 

八ヶ岳登山をテーマに、こんな絵を描きました。

 
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