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2019-09-15

台北へ行ったら、タイペイアイで京劇を見るべし!

京劇は決して“退屈な伝統芸能”なんかじゃない

先日、台湾へ旅行した際に、台北の台北戯棚(タイペイアイ)という劇場で見た京劇があまりにコスパが高く、感動したので、そのことを少し書いてみようと思う。

京劇といえばもちろん本場は中国の北京。

これまでにも私は、北京を訪れるたびに、湖広会館や梨園劇場、老舎茶屋、といった劇場に足を運び、その絢爛たる世界に酔いしれてきた。

最初は、

「京劇なんて古臭い伝統芸能のひとつでしょ。たぶん退屈に違いない…」

…と思っていたが、実際に見てみるととんでもない。

カンフー映画ばりの派手なアクションに、絢爛たる衣装、まるでミュージカルのような歌と音楽と踊り。

加えて、三国志や西遊記といった馴染みの深い英雄豪傑たちの物語…

初めて京劇を見た時、その面白さに、思わず身も心もブッとんだ。

以来、北京を訪れる度に、京劇の劇場に足繁く通うこととなった。

台湾でも京劇が見られるの?

一方、台湾にはこれまでに何度も旅しているが、正直なところ、台湾で京劇が見られるなんて思いもよらなかった。

だって台湾は、共産党との内戦に破れて中国本土から逃れてきた蒋介石を中心とする国民党の人たちが作った国でしょ。

中国文明の長~い歴史に比べれば、いわばつい昨日できたばかりの新しい国なので、いくら同じ中華系の人たちが住んでいるといっても、台湾に京劇なんてあるはずないじゃん…という具合にだ。

ところが、今回旅するにあたりトリップアドバイザーを見ていて、初めて台北にも京劇の劇場があり、口コミも非常に良いことを知ったのである。

ところで台北の故宮博物館には、国民党が中国本土から逃れる際に持ってきた、中国文明の結晶とも言える貴重な宝物がわんさとある。

台湾人はその宝物を眺めながら、自らのルーツである中国本土に思いをはせている。

このメンタリティから察するに、なるほど、台湾人が台湾の地で京劇を「再現」したとしてもおかしくはないワケである。

台湾の京劇はとってもコスパが高い!

さて、その台北で見る京劇であるが、非常にコスパが高く、これでもかと言わんばかりに、あらゆる手段で観客を楽しませてくれる。

そのサービス精神の高さは賞賛に値する。

そのひとつが、本番が始まる前のロビーで催される数々の催しである。

こちらでは、京劇のきらびやかな衣装をまとっての撮影会や琴の生演奏、あちらでは京劇メイクの実演。

そのとなりではフェイスペイントのサービス。

向こうでも出演者とのツーショットサービスやハンドメイドコーナー…といった具合。

もちろん、すべてが無料。

京劇の衣装をまとっての写真撮影コーナー
フェイスペインティング。顔じゃなく手の甲でもしてくれる。
関羽になりきった私。
琴の生演奏。日によっては二胡のこともあるらしい。

とにかく、決して広いとはいえないロビーのあちこちで京劇にふれる楽しい催しが開かれていて、会場はさながら大学の文化祭状態。

お土産ショップもあるので、あちこち見て回るのに、とても30分やそこらでは時間が足りない。

(…なので、タイペイアイへ行くときは間違っても開演ギリギリには行かないように!)

まるで、メインディッシュである京劇がはじまる前から、すでに前菜だけでお腹が満たされたような気分だ。

いよいよ本番のはじまり

でももちろん本番の方もすばらしかったですよ。

私が訪れたのは、土曜日だったので、本番は二部構成(月、水、金は京劇のみの一部構成で公演時間も短め)。

前半は、上海雑技団まがいのアクロバティックかつコミカルな短い芸の競演。

顔の早変わり芸やら、皿回し、椅子を何段も縦に積み上げた上でのバランス芸など。

特に最後の、椅子を天井近く積み上げた上で逆立ちしたりする芸なんかは、見ていて手に汗握るヒヤヒヤもの。

だって命綱つけていないもん。

(フツーはつけるだろう。万が一失敗して椅子と本人が観客側に倒れでもしたら、大惨事だもん。)

ちなみに、このアクロバティック芸があるのは土曜日の公演のみ。

(なので、タイペイアイに行く人は、できれば土曜日にするべきだ!)

前半と後半の間の15分ほどの幕間に、ロビーはまたまた文化祭状態。

先ほど見事なバランス芸を披露したイケメン兄ちゃんとのツーショットコーナー。

そして後半に出演する予定であろう演者たちが歌声を披露するコーナー。

もう、これでもか!いう具合のサービスである。

そして後半、メインの京劇「西遊記」が始まった。

もちろん歌と衣装とアクロバットと音楽、あらゆる要素が織り交ぜられた絢爛たるステージを心から堪能させてもらいましたよ。

(ちなみに日本語字幕付きなので、コトバがわからなくても大丈夫)

そして終演後も、西遊記の演者たちが、あちこちで観客と肩を並べての撮影コーナー。

それにしても、最初から最後まで、ありとあらゆる手段で観客を楽しませようとする、劇場側のホスピタリティの高さにはアタマが下がる思いであった。

タイペイアイ、コスパがとても高いですよ。

ぜひ皆さんも台北へ行く機会があったら、タイペイアイで京劇の世界にどっぷりつかって下さい!

タイペイアイ(台北戯棚)
■住所:台北市中山北路二段113号3F(錦州街交差点。入口は錦州街側)
■行き方:MRT淡水信義線の民権西路駅より徒歩10分ほど
■公演時間と料金:月水金⇒19:00入場、20:00開演(550元)\土⇒19:00入場、20:00開演(880元)

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