タイ旅行記(2)カンチャナプリで象に乗る
映画「戦場に架ける橋」の舞台となった町へ
オレたちは、タイの首都バンコクを堪能した後は、今回の旅のいちばんの目的である、カンチャナプリの町へ向かった。
ところで、オレ流旅の極意は、「できるだけ現地の庶民と同じ目線で旅をすること」だ。
したがってツーリスト専用のレストランや移動手段(タクシーやツアーバス)はめったに利用しない。
バンコクの町では、どこへ行くにも庶民の足であるトゥクトゥクを利用したし、カンチャナプリへの移動(3時間)も庶民の臭いがプンプンするローカルバスだった。
さて、カンチャナプリと言えば、あのデビッド・リーン監督の名画「戦場にかける橋」の舞台となったところ。
あの有名な挿入曲「クワイ川マーチ」は誰でも一度は聞き覚えがあるはず。
町の真中にはそのクワイ川が滔々と流れ、この町の名物水上ホテルが川岸に立ち並んでいる。
オレたちも、この水上ホテルの中のひとつに宿をとった。
もちろんホテルといっても、ビンボー旅のオレたちが泊まるので豪華なモノではない。
ホテルのコテージ(…っていうか、小屋)は、ひとつひとつが独立して水上に浮かび、それぞれは小さな橋で陸とつながっていた。
水上にあるだけに、コテージのベッドに寝ていても部屋全体が常にユラユラ揺れている。
脳性マヒの障害者であるMは、もともと歩行が困難な上に、ホテル全体が揺れているので、歩くといつも以上にフラフラと足元がおぼつかなく、何度も川に落ちそうになった。
翌朝、水上コテージで目をさますと、オレはそのままの格好で、目の前のクワイ川へザブーン!実は、これがやってみたくて、はるばるこの町まで来たのだ。でも、決して川の水はキレイではなかった。
「そういえば、トイレの便器の下はそのまま川になっていたな…」
そう考えたとたん、
「うぅっ!」
川に飛び込んだことを激しく後悔したオレであった。
ゾウに乗ってカレン族の部落へ!
カンチャナプリでは、現地発着のエクスカーションを存分に楽しんだ。
二人は、はじめてゾウの背中に乗り、ジャングルを探検し、竹で編んだ筏で小さな川を下り、首長族としても有名なカレン族の村で、竹筒に入れて炊いたご飯をいただいた。
Mの特技は、言語障害がある上に英語はまったく話せないのに、不思議といつも現地の人に溶け込みコミュニケーションがとれてしまっていることだ。
カレン族の村でも、やっぱりMがいちばんの人気者で、気がつくと、村の人たちに囲まれてニコニコしているMの姿があった。