toggle
2018-02-03

大地の芸術祭の里にて「夢の家」に宿泊する

大地の芸術祭の里とは

 

夏休みを利用して越後妻有(新潟県)の“大地の芸術祭の里”へ旅をした。

 

ここは3年に一度トリエンナーレという現代アートの世界的な芸術祭が開かれる地として名高い。

 

まわりは山や田んぼばかりのド田舎。

そんな中に世界的に有名な現代アートのモニュメントが立っていたり、廃校や廃屋の中にドギモを抜くようなインスタレーションがあったり…という実に面白く、かつ感性を刺激してくれる場所なのだ。

 

たとえば、ここ。

 

 

一見するとただの廃校だけど、一歩中に入ってみてビックリ。

 

真っ暗な体育館の中に床一面藁が敷き詰められ、無数の扇風機が一斉に風を送り、壁には奇妙な光の波が‼︎

 

 

おそるおそる廊下を進むと理科室らしき所からはドックンドックンと大きな心臓の音が‼︎

まるでお化け屋敷みたいだが、これでも「最後の教室」という結構人気なアート作品なのだ。

 

これは廃校全体を絵本作家の田島征三がアート作品にしてしまった「絵本と木の実の美術館」。

 

 

棚田にも、自然とアートが一体となった作品が。

 

 

もちろん、あの草間彌生センセの作品もありました。

 

 

とにかく辺りは広大なエリア。

そこに自然と一体化した数多くのアート作品が点在しているので、短い滞在ではとても多くを見ることが出来ない。

 

芸術祭そのものは3年ごとの開催であるが、その出品作のいくつかが毎回残されるので、ここを訪れれば一年中アート作品が堪能出来る、というわけだ。

 

参加型アート作品「夢の家」に泊まる

 

極め付けはこちら。

アート作品でもあり宿泊施設にもなっているマリーネ・アブラモビッチ作の「夢の家」。

 

 

外観は一見して何の変哲もない古民家だが、一歩踏み入れるとそこには不思議なアート空間が‼︎

 

赤や青、黄、緑の4色に彩られた部屋があり、宿泊者はそれぞれの部屋の色に対応したツナギを着用する。

 

 

驚いたのはこれ。

 

宿泊客はベッドではなく、なんと棺桶の中で眠るのである。

 

 

棺桶の中で一晩を過ごした宿泊客は、翌朝、見た夢を“夢の本”に書き込む、というルール。

 

 

つまり、これは参加型のアート作品なのだ。

 

そして私たち一家は?

と言うと、もちろんここで一晩過ごしました!

 

まずは「浄めの部屋」と呼ばれる浴室で湯につかる。

 

 

浴槽は銅製、枕はなんと水晶!

 

湯にはひと抱えもある薬草が浮かんでいる。

 

入浴というよりも、心と身体を浄化するというカンジ。

 

次に部屋の色に対応した例のツナギを着る。

 

真夏だったので、かなり暑かった。こんなカンジ。

 

かなり怪しい?

 

そして最後に重い磁石を12個も身に付ける。

磁力で身体を浄化するためとか。

 

 

私は赤いツナギを着て赤い部屋の棺桶に横たわった。

 

 

妻と娘は青いツナギで青い部屋。

 

母は緑の部屋。

 

 

 

私たち一行は、真夏のとある夜、不思議な空間に横たわる棺の中で一晩限りの死人になったわけだ。

 

果たして寝心地は?

 

といえば、お世辞にも快適には程遠かったです。

 

暑いし、背中は痛いし、、、

 

朝方近くまで続く浅い眠りの中、何度も何度も目覚める始末。

まるで黄泉の世界を漂っているみたい。

 

赤いガラス窓越しに赤い朝焼けを眺めた時、ようやく死から解放されたようなホッとした気分になった。

 

 

こんな眠れない夜でも一応夢は見た。

 

なぜか巨大なパンダのぬいぐるみが登場する不思議な夢。

 

いったいこの夢に、何の意味があるのかわからないが、棺の床に収納されている“夢の本”に翌朝しっかり書き込んだ。

 

この奇妙な作品を作ったマリーネ・アブラモビッチという人、実は世界的に有名なアーティストらしく写真集もビデオもいっぱい。

 

ちなみにこのテーブルの上に並んだコップも彼女の作品。触ってはいけない。

 

 

家には黒電話があるか?と思いきや、テレパシー電話?との表示。

私には使えない。

 

 

「夢の家」。

大地の芸術祭の里を訪れた際には、ぜひここに宿泊してみてほしい。

 

決して快適な宿とは言えないが、必ずや生涯忘れることの出来ない貴重な一夜になるだろう。

関連記事
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。