戸隠山登山 蟻の搭渡りはマジでヤバいところ!!
戸隠山って、どんなとこ?
戸隠は、古事記の「天の岩戸伝説」に由来する土地だ。
その昔アマテラスオオミカミが、弟のスサノオノミコトの乱暴狼藉に我慢が出来なくなって岩屋にこもってしまった.。
太陽神が隠れてしまったので、世界は真っ暗、闇の中だ。
困った神々は一計を講じる。
アメノウズメがセクシーなダンスを披露し、神々が「ええぞ、ええぞ!」と大喝采をあげた。
アマテラスが「いったい何事?」と興味深げに、岩戸を少し開けて外をのぞいたその瞬間、怪力無双のタジカラオノミコトが岩戸をこじ開けて、「エイヤッ!」とはるか彼方へと投げ飛ばした。
岩戸はひゅるひゅるひゅる〜と、ナント長野県まですっ飛んでいって、ストン!と落ちた所が戸隠らしい。
つまり戸隠山は高天原から飛んで来た岩戸が大地に突き刺さって出来た山、ということになる。
「それにしてもスゲェでっかい戸びらだ!」
オレは初めて戸隠を訪れ、鏡池の向こうにまるで屏風のように連なる戸隠山を眺めた時、これを投げ飛ばしたタジカラオノミコトの怪力にめっぽう感心した。
そしてどうしてもこの山に登りたくなったのだ。
、、、が戸隠山に登るにはひとつ難がある。
蟻の搭渡りは、マジでヤバい場所
戸隠山の登山ルート上には「蟻の塔渡り」と呼ばれる、まるでナイフの刃先のように鋭く尖った岩が十数メートルに渡って続く難所があるのだ。
実際、ここで滑り落ちて怪我をしたり、命を落としたりした登山者もいるらしい。
登山口となる戸隠神社奥社の参道脇には、軽はずみな登山を戒める注意書きが立っている。
さらに、その看板の向こうにはまるで関所のようにテントが張られ、関所番の男が、
「手形の無いモンは絶対通さんもんねェ!」
というがごとく陣取っていた。
オレはこの関所番と無用なもめ事になりたくなかったので、反対側の登山口である戸隠牧場の方から登ることにした。
そいで、どうせこっちから登るんだったら、ついでに百名山の高妻山もゲットしちゃおう!と欲を出し、未明4時頃に戸隠牧場をスタートした。合計13時間を超える長い行程である。
オレは順調に歩を進め、8時に高妻山の頂上をゲット。来た道を分岐点である一不動まで折り返し、今度は戸隠山方面へ。
11時頃、戸隠山頂上もゲット。
しかし、ここで油断してはいけない。
この先に本日のメインイベントとも言える、最大の難所「蟻の塔渡り」が控えているのだ。
11時半頃、八方睨みと呼ばれる景観ポイントを過ぎ、少し下山した頃…
ジャジャ〜ン!ついに出ました「蟻の塔渡り」。
目の前に、両端がスパッと切れ落ちた幅50センチほどの岩が十数メートルも先へと続いている。
オレ以外に他の登山客はいなく、あたりはシ~ンと不気味に静まり返っている。
これはマジやばいでしょ!
滑って落ちたら、骨折どころか、頭蓋骨ボロボロ、骨も肉も砕け散って即死間違いなしだ。
たしか地獄絵図でこんなの見たことある。
ハダカの罪人たちがナイフの刃先みたいな所を歩かされ、滑って落ちた連中が、剣山(けんざん)のような尖ったガラスの先にグサリと刺さって血を流しているやつだ。
一瞬オレの脳裏に、棺(ひつぎ)に泣いてすがりつく妻とわが子の姿がよぎった。
しかし、ここまで来たからにゃあ、戻るわけにはいかない。
オレは四つん這いになって、おそるおそるナイフの刃のような岩にとりついた。
ネット上では、この場所で立ち上がり両手を掲げてポーズしている画像などが公開されているが、オレとってもそんなマネできやしねぇ。
立ち上がるどころか、馬に乗るように岩にまたがり、ズリズリと少しずつ尻をずらせながら前進するのが精一杯だ。
あまりの緊張に、自分の心臓がドクドクと鳴っているのが聞こえた。
わずか十数メートル進むのに、いったいどれだけの時間を要したのだろう。
ようやくゴールが見えてきた。
そして、この恐怖から解放されたとき、びびりまくりのオレは、思わず「助かった~」と深く息をもらしてしまったよ。
それにしてもこんな場所で修行をしていたとは、昔の修験道の行者は実にエライもんだぁ!
最後に戸隠山登山の思い出を絵にした作品をご紹介しよう。
アクリルガッシュで描きました。
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