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2018-10-28

メルボルンで画家修行(2)初めてのバスキング、街頭で絵を描く

初めてのバスキング

説明会を終えると、時計は15時をまわっていた。

晩秋のせいか、すでに陽が傾きつつある。

せっかくバスキングの許可証をもらったのだし、ショーバイ道具は一式持っている。

このままホテルに戻るのももったいない。

「この街に身体をなじませるために一時間だけ路上で描いてみよう」と決めた。

 

しかし、いざ路上に自分の絵を並べるとなると、初めての経験だけにとても気が引けて、人々が行き交う繁華街を、あっちをウロウロ、こっちをウロウロ。

なかなか決心がつかない。

結局、先ほど説明会を受けた市庁舎の近くまで戻り、チェスボードと呼ばれる小広場の一角にオブジェらしきものを発見し、そこに陣取ることにした。 

そのオブジェのコの字形に窪んだ一畳ほどのスペースが、三方向が低い壁になっておりビミョーに「守られている感」があって、安心できそうだったので、意を決して、ひっそりと店を広げた。

そもそもバスキングをやるのに、「ひっそり」では困るのだが、今日はあくまでも“慣らし運転”だ。

これで良しとしよう。

路上で描いていると、信号待ちの人が時折、チラリとこちらに視線を向ける。

目の前を多くの人々が通り過ぎるが、立ち止まってまで眺める人は、ごくわずか。

一時間ほど描いて、ベビーカーを押したお母さんがボストカードを一つ買ってくれただけだった。

どうやらそんなに甘くは無いもよう。さあ、明日からどうなることやら。

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