メルボルンで画家修行(3)バスキングやってみたが絵がまったく売れない…
オーストラリア画家修業、二日目
今日から、本格的にバスキング(大道芸)開始だ。
昨日は、人前で絵を描くなんて、ほとんど初めてだったので、
選んだ場所はヤラ河のほとりのサウスバンクというエリア。
オシャレなレストランやショップが、
多くの人で賑わう遊歩道に面した芝生に店を広げて、
描きながら、自分に言い聞かせた。
「ふだんは部屋でひとりで描いているけど、
「目の前にいるのはヒトではない、ただのジャガイモだ!」
つまり、自分はバスキング(大道芸)
確かに、こう言い聞かせていたら、目の前を行き交う人々が、、、
しかし、そもそも、これではバスキングが成立するわけがない。
バスキングとは、いわば歌や芸を使って、
如何に、多くの人々の関心を瞬時にこちら側に呼び寄せるかが、
ひとり無言で、公園の芝生の上でただ筆を走らせているだけでは、
時々、立ち止まって絵を眺める人や、「素晴らしい!」
オーストラリア画家修業、三日目
今日は、また場所を変えて、
「街を歩いている人でアートに興味のある人はごく一部だ」 → 「
こんな単純な三段論法からだ。
オレは、美術館前の、
美術館ではおりしもピカソ展が行われていた。
「よぉし!今日はピカソがライバルだ!」
オレは意気込んだ。
今日は心底期待した。
「ブラボー!YOUの絵は素晴らしい!今、
こんな風に派手なリアクションがあることを、正直、
しかし、だ…
今日もほとんど反応がない。
ニュージーランドから来たハーフの日本人青年がミョーに親しげに
「まぁ何て素敵な色なの!」と、
でも、それだけだ。
原画の方はサッパリ売れない。
「ヒコーキ代ぐらい稼いできてやるぜ!!」
こう啖呵(たんか)を切って日本を出てきたのだ。
一枚も売れなかった、、、では恥ずかしくて帰れないではないか。
オレは、
それでも売れない。
ついには、30ドル!(約2500円)
それでもダメだ。
オレは打ちひしがれた思いで、路上を舞う枯れ葉を見つめた。
晩秋の冷たい風がオレの心まで寒くした。
「バスキングなんてやめてやる、、、グスッ(泣)」
オレは、自分の絵を売るのを諦めてさっさと店を畳むことにした。
パフォーマーでも無いし、もともとネクラなオレには、
それに、よ~く考えてみれば、
たぶんバスキングでそこそこ稼げるのは、
似顔絵も描けなきゃあ、パフォーマンスもできないこのオレが、
そもそもこんな露店で原画が高く売れるようでは、
というわけで、