toggle
2018-03-01

インド旅行記(5)誰かオレにルピーをくれい~

ガンジス河下流の町に移る
 
ようやくリシケシまでたどり着いたはいいが、ガンジス河は大洪水。
 
オレの腸の方も、怪しい食堂で怪しいカレー煮を食べたせいで、「大氾濫!」を起こしていた。
 
つまり下痢で大変な状況、ということ。
 
昨晩は一時間おきにトイレに駆け込む始末だった。
 
これじゃあ、ヨガ修行どころじゃない。
 
無理なポーズをとると、あやうく「出ちゃいそう」になるのだ。
 
修行中にチビりでもしたら、みっともなくて目も当てられねぇ。
 
それどころか、日本人の国際信用力に関わる大問題だ。
 
腸が落ち着くまで、ヨガ修行は延期しよう。
 
幸い、昨日までの豪雨はおさまり、天候が回復しそうな気配だったので、とりあえずヨガアシュラムに近い下流の町のホテルに移動することにした。
 
 
ルピーがない!
 
ガンジス河は、昨日よりは水位が下がったものの、相変わらずゴーゴーとうねりを上げて流れている。
 
オレが泊まろうとしたのは、そんなガンジス河の岸辺に建つ一泊1700円のゲストハウス。
 
「部屋は空いてるか?」
 
と訪ねると、受付の男は、
 
「空いてるけど、宿泊費を前金で支払わないと泊めてやんないよ」
 
とソツない返事。
 
問題は、オレの手持ちのルピーがほとんど無いことだ。
 
深夜にデリーに到着し、空港では当面必要な少額だけしか両替しなかった。
 
それもリシケシまでの移動や昨日までのホテル代などで、ほとんど使い果たしてしまっていたのだ。
 
昨晩泊まった宿のオヤジに、どこで両替できるか聞いたら、
 
「ノープロブレム!すぐ隣の銀行で両替できるよ」
 
と、いとも簡単に言った。
 
今朝オープンを待って行ってみると、
 
「ここは州の銀行だから外貨両替は出来ない。8キロ先の銀行へ行け!」
 
という。
 
「おいおい8キロと簡単に言うけどなぁ、、、」
 
オレは仕方なく、私設の両替屋を探すことにした。
 
あちこち聞きながらようやくたどり着いた。
 
外観は貴金属店だが、横に小さく「money exchange」と看板が出ている。
 
店をくぐると、留守番らしき若者が、
 
「ボスはいないので1時間後に来てくれ!」
 
と言う。
 
一時間も待てないので、ガンジス河に架かる吊り橋を対岸へ渡って、ガイドブックに載っていた別の両替屋へ向かった。
 
ここでも、まるで示し合わせたように、
 
「ボスはいないので1時間後に来てくれ!」だ。
 
れにしてもまったく同じ「one hour later」というフレーズ。
 
ムムム?
ここでオレはハタと気づいた。
 
コレはたぶん言葉通り「一時間後」と直訳してはいけない。
 
インド人がよく使う、ノープロブレム!というフレーズは、
 
「全然問題ない」
 
と直訳すべきでは無く、
 
「問題はいっぱいあるけど自分で何とかしな!」
 
という意味だ。
 
おそらくこの場合の「one hour later」というフレーズは、
 
「一時間後にボスが帰る」 
 
と直訳すべきでは無く、
 
「ボスはいつ帰ってくるか、まったく分かんない~」
 
と訳すべきだろう。
 
(露天でチャイを飲みながら、辛抱強くボスが戻るのを待つオレ)
 
オレの推測は当たった。
 
1時間後にもう一度始めの両替屋まで戻り
 
「ボスは?
 
と聞くと、
 
「もうあと1時間後だ!」
 
もう1時間後に行くと、
 
「まだだ!」
 
露店でチャイを飲んで時間を潰し、もう一度行ってみると、
 
「まだだ!」
 
「オイオイ、もう軽く3時間が経ってるじゃあないか!」
 
「ふざけるな!責任者を出せ!」
と、叫ぼうと思ったが止めた。
 
ここはインドだ。仕方ない。
それよりも、、、
 
両替できなきゃ、ホテルに泊まれないどころか、メシにもありつけない。
 
オレがガンジス河のほとりで途方に暮れていると、まるで同情するかのように一匹の牛が近づいてきた。
 
 
 
4時間後、再々再々再度両替屋を覗くと、やはりまだボスは帰っていなかった。
 
「誰かオレにルピーをくれい~グスン(泣)」
 
涙目で、ふと上を見上げると、「money exchange」の看板が!
 
オレは偶然にも別の両替屋を発見して、無事ルピーを手にすることができたのだ。
 
もしかすると、さっき近づいてきた牛はシヴァ神の使いだったのかも?
 
 
(ガンジス河の畔にて。洪水の被害者を弔っているのか?)

 

関連記事
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。