カンボジア旅行記(4)これがカンボジアのタクシー?
怪しいタクシーに乗り込む
オレはエアコンのきいたタクシーの助手席シートに疲れた身体を沈めた。
フゥ~~~と長い溜め息をひとつ。
ところが、おもむろにガチャリとシートベルトをしたとたん、バタンと助手席のドアが開き、ひとりの男が乗り込んできた。
「おいおいオレがもう乗ってるぜ・・・」
そう言おうとしたが、その男は当然のごとく、オレのケツを自分のケツで
ぐいぃ~
と奥へ押しやり、自分も助手席のシートに割り込むとバタンとドアを閉めてしまった。
ひとつの助手席に何と大人が二人・・・?
オレは一瞬何が起こったか理解できなかった。
だが車は何事もなかったように走り出した。
エアコンの効いた特等席でのんびり車窓の風景を楽しもう・・・などと考えていたオレの甘い考えはもろくも崩れ去った。
それにしても助手席に二人はないぜ
身動きがとれねぇ。
おまけにシートベルトなんかしてしまったもんだから、首がシートで締められて息苦しくて仕方がねぇ。
窮屈な体勢でかろうじて首をひねり、後部座席をかえりみると、なんと狭い車内に5人もの老若男女が押し込められているではないか!
んで、フツーに笑って会話してるし!
んもうっ!この国のホーリツはどうなってるんじゃい?
しかし、しかし、本当のオドロキはまだこれからだった。
おそるべし、カンボジアのタクシー
とある村にさしかかった時、ひとりの男が路上で手を上げた。
それを見て、オレの乗った乗用車がとまった。
さすがにもう乗るスペースは残されていないだろう。
何といっても助手席に二人だもんね。
そしたらドライバーは、おもむろに助手席のオレの方にぐぐっとケツを寄せると、自分の席のドアを開け、その男を迎え入れた。
「おいおいホンマか!マジかよ!運転席にも二人乗っちゃうのかよ!」
ここでもうオレの思考回路は完全にプッツンしてしまった。
「助手席に二人、運転席にも二人・・・」
「助手席に二人、運転席にも二人・・・」
そんなフレーズだけがオレの頭の中をぐるぐるとかけめぐっていた。
ふと我にかえり、横の運転席を見ると、ドライバーは身体を窮屈そうに斜めに傾けた体勢で器用にハンドルを握り、それでもビュンビュンとアクセルふかして前行く車を片っ端から追い抜いていた。
ムムムッ!恐るべしカンボジア人
そんな状態でおよそ2時間。車はようやくシェムリアップの町に入った。
やっとこの窮屈な体勢から開放される・・・
そう思ったとたんだった。
後ろのシートからけたたましく
コケコッコッ~
なんと後部座席にはニワトリも乗っていたのだ・・・
やはり恐るべしカンボジア人
(おしまい)
コメントを残す